の籠に近づいた。
そして彼のかわいがっている小鳥に、餌をあたえはじめた。それが大方終りに近づいた頃、
「はい、ごめんよ」と、店へはいってきた男があった。背の高いりっぱな人物だった。日本人のようであり、また外人のようにも見える。
この紳士こそ、四馬剣尺の部下として重きをなす机博士その人であった。
「ご主人。そのガラス箱の中にはいっている金貨の半分になったようなものを、ちょいと見せてもらおう」
博士は、長い手を延して、ガラス箱の棚を指した。
「ああ、これですか」
老商チャンは、それを取出して客に見せた。チャンは、立花先生と売約《ばいやく》が成立したことを忘れているような態度で、気軽に三日月形の黄金メダルをだしてみせたのである。
「これはおもしろいものだ。惜しいことに半分になっている。ご主人、これは本物のゴールド(金《きん》)かね」
「純金《じゅんきん》に近い二十二金ですわ」
「ふふん。で、値段はいくら」
「あまり売れ口がええものやないさかい、まあ大まけにまけて三十万円ですな」
「三十万円! あほらしい、そんな値があるものか。ご主人、十五万円ではどうだ」
「あきまへん。三十万円、一文
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