ころは、わしにはちゃんと分っている。誰があんな社説を流布《るふ》したか、わしは知っている」
「あははは。あの蜂矢探偵のことですか」
課長はそれにはこたえず不快な色を見せただけで黙っていた。
「実際蜂矢氏はすこしでしゃばりすぎますね。しかし仲々頭のいい人で、私立探偵にしておくのはもったいないほどだ。うちの課にもせめてあれくらいの人物が二三人……」
課長が吸いかけた煙草を灰皿の中にぎゅっと押しつけたので、黒川医は課長がかんしゃくを起したかとおどろいて言葉をとめた。
「幽霊を信ぜよなどという悪説を流布する者は、いくら頭がよくても、うちの課員にすることはできない」
課長はこの言葉を後に残して、部下たちをひきつれて本庁へ帰っていった。
幽霊説を蛇蝎《だかつ》のように嫌う一本気の田山課長が爆発させたかんしゃく玉はそれからこの事件の捜査を、以前とはうってかわった真剣なものにした。
木見邸にはいつも数人の警官が詰めることとなった。
その隣家の道夫の家まで、厳重に見張られることとなった。
道夫といえば、この少年は川北先生の発見以来ずっと川北先生のそばについている。それは同時にその筋から監視
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