したんですか。僕の仕事はもうすんだのですか」
道夫は、すこし皮肉がいいたくなってそういった。
「うむ、失敗だッ」
怪紳士は、かんではきだすようにいったが、そのときしまった、そんなことをいうんじゃなかったという顔つきになり、道夫の方に鋭い目を走らせ、
「いや、一度や二度じゃうまくいかないだろう。それはそうと……」
と怪紳士はいいかけて、更に自分の感情を殺しながら、
「僕はこれからちょっとでかけなければならんが、詳しい話は帰ってきてからにするとして……、道夫君も疲れたことだろう。ちょうどコーヒーが沸《わ》いたから、甘くしてごちそうしようね」
そういって怪紳士は、卓子《テーブル》の上に置いてある湯気の立っているコーヒー沸しを持上げ、銀の盆の上に並んでいた空のコーヒー茶碗の一つを道夫の前に置き、その中にこげ茶色の香の高い液体をついだ。
「砂糖とミルクはそこにあるから、好きなほど入れておあがり」
そういって怪紳士は、もう一つのコーヒー茶碗にコーヒーをついで、自分の椅子の方に引寄せた。そして角砂糖を一つ入れると、がらがらと匙《さじ》でかきまわして、うまそうにのんだ。
「どうぞ、遠慮しない
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