高い音をたてた。
三十分……もうたえられない。我慢ができない!
と、そのときだった。隣室の鳩時計がぽうっぽうっと、九時をうった。まだ九時かといぶかる折しも続いてどこかの部屋で、じりじりと電話の呼びだしのベルが鳴りだした。道夫はそれを聞くとすくわれたように思った。
受話器を取上げたらしく、返事をする声が聞えた。
その声はまぎれもなく例の怪紳士の声である。
「えっ、本当? もっとはっきりいって……うむ、それは重大だ。場所はどこ?……えっ、そうか。そうか。……よろしい、すぐでかけます……」
何事か重大なことがらの知らせが怪紳士のところへ届いた様子である。何事であろうか?
暗室の怪
ちょっと間を置いて、道夫の背後のカーテンが開かれ、部屋がすこし明るくなった。と道夫は怪紳士から、こっちの部屋へくるようにと呼ばれた。
放免《ほうめん》だ。暗室の怪業から放免されたのだ。道夫は大よろこびで椅子から下りて、元の明るい洋間へ移った。
怪紳士の顔を道夫がそっと盗見《ぬすみみ》すると、たしかに心がいらいらしているらしく見えた。しかし彼はそこを一所けんめいにこらえている様子だ。
「どう
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