らしげにぐるぐる見まわした。
りっぱな洋間だ。電気ストーブをはめこんだ壁、しぶい蔦《つた》の模様の壁紙、牧場の朝を画いてあるうつくしい油絵の大きな額縁《がくぶち》、暖炉《だんろ》の上の大理石の棚の上には、黄金の台の上に、奈良朝時代のものらしい木彫の観世音菩薩《かんぜおんぼさつ》が立っている。
そういう調和のとれた隙のないこの洋間に、ただ一つ不調和に見えるものがあった。それは、部屋の奥にふかく垂れ下っている、紫色の重いカーテンだった。そのカーテンは、どうやらその奥にある別の部屋の入口をかくしているものらしい。
と、部屋に人の気配がした。紫のカーテンに目を釘づけにしていた道夫は、はっとして、後をふりむいた。例の紳士が、銀色の盆の上に、焼いたパンと、卵の目玉焼きと、それから大きなコップに入った牛乳とをならべたものを持って道夫の方へ近づき、小|卓子《テーブル》の上においた。
「さあおあがり、お腹《なか》がすいたろう」
「あなたは、いったいどなたですか。そしてここはどこです。僕はどうしてこんなところへきたのでしょうか」
道夫は、食欲をひどく感じたけれど、その前にたしかめておくべきことをた
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