外へ飛び下りた、庭へですよ。そして外からこの硝子戸を元のように閉めた。だからこの硝子戸には、内側にかけ金がありながら、ほらこのようにかけ金が外れているのです。ねえ、木見さんの小父さん。この窓のかけ金は、いつもちゃんとかけてあるんですね」
「そうだ。いつもかけてある。厳重に戸締《とじま》りしてありました」
「すると、その窓を明けて、誰か外へ逃げだしたんだな」
「幽霊が外へ逃げだしたんですか」
「幽霊じゃないですよ。これはかけ金を外すくらいだから、生きている人間ですよ。まだその辺に隠れているかもしれない。皆さん、早く外へでて、見つけて下さい」
 道夫がいった。
「そうだ。皆さん。半数は廊下を通って、庭へでてください。その頃、残りの半分はこの窓から庭へ飛び下りますから」
 隣組の人たちは、まだ事情がはっきり呑《の》みこめないが、とにかく二組にわかれ、一組は廊下から表座敷を通りぬけて庭へ廻った。研究室に残った一組は硝子窓の下に飛びだす機会を待っていた。と、庭の方から叫び声が聞えた。
「いたぞ」
「こら、待てッ」
「逃がすな。皆、こい」
 この声に、研究室にいた一組も、窓を開いて、薄暗い庭へ飛び
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