何者?
誰も彼も、息をのみ、全神経を耳と目に集めて、もし怪奇があらば、真先に自分がそれを見つけて声をあげるつもりだった。全身の毛穴がぞくぞくしてくる。足がだんだんと重くなって、先へ進みかねる。
と、研究室の中と思われるところから、ざらざらと硬い物のすれ合うような音がしそれに続いて、何だか溜息《ためいき》のようなものが聞えた。
「おッ……」
研究室を目指す一同の足は、もう一歩も前には進まなくなった。
(あれは何物だろう? あれは何の音か?)
そのとき、研究室の中で、第二の物音が聞えた。それは前回よりもずっと大きいはっきりした物音で、何か物がぶっつかったようで、それにぴいんと硝子《ガラス》の響くような音もまじっていた。
「早くいってみましょう。研究室へ……」
道夫が叫んだ。
「よし、いこう」
互いに相手を前へ押しやるようにして、一同はどやどやと研究室へなだれこんだ。
電灯がついた。道夫がそうしたのだ。
室内は明るくなった。一同は拳《こぶし》を固く握って、きょろきょろと各自のまわりを見廻《みまわ》した。
だが、何にも異状を発見することができなかった。
「いないぞ、どうした
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