足をつかないで飛び越えたことになります。十メートルも跳躍することは人間業じゃできないことだと思います」
道夫少年のこの推理の正しいことが、誰にも了解された。が、そうなると、川北先生の失踪の説明は一層つかなくなる。ただふしぎふしぎというばかりであった。
「われわれの手に負えませんなあ。どうです。やっぱりできるだけ早くその筋へ申告して、警視庁の手で調べて貰《もら》うことにしてはどうですか」
「そうだ。そうする外、道がありませんねえ」
これで方針が一応おさまるところへおさまったようである。その証拠には、隣組の人たちはもう誰も発言せず、夕暗《ゆうやみ》の迫る中にじっと塑像《そぞう》のように立ちつくしていた。
が、そのときであった。突然、金切り声が一同の鼓膜《こまく》をつんざいた。女の声らしい。その声の起ったのは、どうやら木見さんの家の中のように思われた。一同ははっとおどろいて互いの顔を見合わせた。
「あ、あれはうちの家内の声のようだ」
武平はそういってかけだした。
「ああ、木見さんの奥さんの声……」
「さあ、皆いってみましょう」
一同は武平のあとを追い、庭をぐるっと廻《まわ》って、木
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