に見ているでしょう。気のまよいじゃないわねえ。ところがあたしは、一種の幽霊なのよ。この世の人ではないのよ。うそだと思ったらあたしの身体にさわってごらんなさい。さあ、さわってみてよ。道夫さん」
 そういわれて道夫は、気味がわるかったけれど、雪子のことばにしたがわないわけにもいかないので、椅子から立上ると、手をのばして机越しに雪子の腕をつかんでみた――いや、つかんだつもりだったが、実際は手ごたえがまるでなく、何にもない空間をかきまわしているのと同じだった。しかも眼で見ると、そこにはちゃんと雪子の身体がある。道夫は冷水を頭からあびたようにぞっとして、手を引込めた。
「ほほほほ、そんなおっかない顔をするものじゃなくてよ」
 雪子は顔をゆがめて笑った。さびしい笑いであった。
「分ったでしょう。あたしの姿はちゃんと見えているのにあたしの身体は手にさわれないということを。……しかし、今のは、あたしがわざと道夫さんの手にさわらないように、ある行動をとったためなの。そこでもう一度さわってごらんなさい。あたしの手首に……」
 そういって雪子学士は、道夫の方へ手をさしだした。
 道夫は困った顔をした。あのよ
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