の方へ歩いていった。そしてすぐこっちへもどってきたが、手には紙と鉛筆とを持っていた。
 何事かを説明するに、紙の上に書くつもりらしい。幽霊に文字が書けるであろうか。

   四次元世界

「道夫さんたちの住んでいる世界は三次元の世界よ。分って」
 雪子は道夫にきいた。
「分らないね」
「だって三次元よ。つまり、その世界にあるあらゆる物は、横と縦と高さがある。たとえばマッチの箱をとって考えると、横が五センチ、縦が四センチ、高さが二センチ位ね。つまり横、縦、高さという三つの寸法ではかられるものでしょう。人間でもそうだわ。横も縦も高さもあるわね。つまり三次元というと、立体のことなの。道夫さんの住んでいる世界は立体の世界なの。わかります?」
「わかるような気がするけれど……」
「まあ、わかるような気がするなんて、心細いのね。――二次元世界というとこれは平面の世界なの。そこには高さというものがなくて、横と縦とだけがあるの。ちょうど、紙の表面がそれね。これが二次元世界」
「立体が三次元、平面が二次元というわけだね。じゃあ一次元というのがあるかしら」
「もちろん有るわよ。それは長さだけがある世界のこ
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