、なぜなら女幽霊は鉄の塀でも石の壁でもすうすうと向うへ抜けていってしまうからだ! 女幽霊に入られると、家の中がひっくりかえされる!
女幽霊の顔ときたら、般若《はんにゃ》よりもおそろしかった! 口が耳のところまで裂けていたそうな! すごい眼付で睨んで、のろいのことばをなげつけた! のろわれた者は、それから三日目に高熱を発して死んでしまった。
こんな風に、女幽霊についてあること無いことが入れ換って、噂《うわさ》となってとんだ。
それとともに、捜査課に対する非難の声が高まっていった。捜査課は一体なにをしているのか。こうたびたび都下にあらわれて、みんなに迷惑をかける幽霊を、なぜ逮捕することができないのか。一体あの女幽霊はどういう筋合いのものか、分っているだけのことでも早く都民へ知らせてくれたがいいではないか。幽霊の侵入を防ぐ最も有効な方法を至急研究して知らせてくれないと困るなど。
田山課長の顔は、ますます苦り切ってゆく。何日たっても、女幽霊に対して、これぞという解決も報告もできないのだ。しかるに新聞社の写真班が、女幽霊をうつそうとして競争で追いかけまわす、放送局では女幽霊の呻《うな》り
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