んがいして、両手をキンちゃんの胴中《どうなか》へまわして、ぎゅうとしめつけた。
「あいたたたた」
キンちゃんは、大げさに顔をしかめて、悲鳴をあげた。
「わる口をいうと、おみやげを持ってかえってやらないよ」
「えッ、お土産。ああ、そうか。坊や、いい子だからお土産うんと持って来てくんなよ。ウサギの子でもいいし、ウサギがついた餅でもいいからね」
月の中にウサギが住んでいると思っている、キンちゃんだった。
装甲車の戸があいた。マルモ隊長とカンノ博士のあとについて正吉は外に出た。
はじめて月の表面に足をおろして歩くのであった。変な気持だった。身体がいやにかるく、今にもふわッと浮きあがりそうであった。そうでもあろう。ここでは重力が、地球の場合の六分の一なのだ。物の重さが六分の一に減ったように感じるのだ。
徒歩の一行は十名ぐらいだった。
そのあとへ六台の装甲車がついてくる。あと三台は、さっきのところに待っている。その中に正吉の乗っていた一号車もあった。
一行は、山のすそを左の方へぐるっとまわっていった。よく見ると、道がついていた。かたい岩がけずられて、道跡になっている。その上に黒ずんだ
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