今は夢として破れ去り、ほんとうは他の星の生物たちといっしょに住んでいる雑居《ざっきょ》世界だということが分りかけた。これはゆだんがならない。また、考えなおさなければならない。もしや宇宙戦争が始まるようになっては、たいへんである。
 正吉は、そんなことを考えていると、なんとなく気分がすぐれなくなった。カコ技師はすぐそれを見てとった。
「正吉君。いやにふさぎこんでしまったじゃないか。とにかく人間は、どんなときにも元気をなくしてしまってはおしまいだよ。そうそう、いま映画室でポパイだのミッキー・マウスの古い漫画映画をうつしているそうだから、行ってみて来たまえ。そして早く、にこにこ正ちゃんに戻りなさい」
 カコ技師にいわれて、正吉は、そのことばに従った。
 映画はおもしろくて、おなかをかかえて笑った。すぐそばに、正吉よりもっと大きな声で笑いつづける者がいた。よく見ると料理番のキンちゃんであった。
 映画がすむと、キンちゃんが、室内競技場へ行こうと、さそってくれた。正吉は、いっしょに行った。そこには非番の艇員たちが、声をあげて遊んでいた。正吉たちもその仲間にはいって、バスケットボールをしたり、ビー
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