った。
しかし、この新月号の設計者である、カコ技師は、安全なことについては、他のどのロケットにもまけないといっていた。そして、それを証明するために、自分も機関長として、新月号に乗組み、この探検に加わることとなった。
それでは、新月号の艇長は、いったい誰であろうか。これこそ宇宙旅行十九回という輝かしい記録をもつ有名な探検家マルモ・ケン氏であった。カンノ博士は、観測団長だった。
スミレ女史が通信局長であった。女史は、正吉を冷凍から助けだしてくれた登山者中の一人であった。
こうして新月号に乗組んだ者は、正吉をいれて総員四十一名となった。
「はじめて宇宙旅行をする者は、地球出発後七日間は、窓の外を見ることを許さない」
こういう命令を、マルモ艇長《ていちょう》は、出発の前に出した。
「なぜ、あんな命令を出したんだろう」
と、正吉はおもしろくなかった。飛行機に乗って離陸するときでさえ、たいへん気持がいい。ましてや、このふう[#「ふう」に傍点]がわりの最新式ロケット艇の新月号で離陸せるときは、さぞ壮観《そうかん》であろう。だからぜひ見たい。
また高度がだんだん高くなって、太平洋と太西洋
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