る。そしてこれはどこか風車か、タービンの羽根ににている。
空気のあるところをとぶときは、このつばの羽根が、はじめ水平にまわり、離陸したあとは、すこしずつ縦《たて》の方へ傾《かたむ》いていって、斜《なな》めに空を切ってあがる、なかなかおもしろい飛び方をする。
そして、もう空気がほとんどないところへ来ると、このつばの羽根が、球から離れる。
そのあとは球《きゅう》だけとなる。この球がロケットとして、六個の穴からガスをふきだして、空気のない空間を、どんどん速度をあげて進んでいくのだ。
球形の外郭《がいかく》には、たくさんの窓があいている、もちろん穴はあいていない。厚い透明体の板がこの窓にはまっている。そしてこの窓は暗黒の中に美しい星がおびただしく輝いている大宇宙をのぞくために使う。
新月号のこの球の直径は、約七十メートルある。だから両国の国技館のまわりに、でっかい円坂をつけたようにも見える。
この新月号は、ただひとりで宇宙の旅をすることになっていた。
こういう形のロケットは、今まであまり見受けなかったことで、あぶながる人もいた。学者の中でも、疑問をもっている人があんがい少なくなか
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