頭を他の中からぬっともたげたのである。二つのぎょろぎょろ目玉。ほっそりした肩には、うろこが光っていた。肩のそばに左右に生えているヒレをぶるぶるとふるわせると、大きな口をあいて、正吉の方をにらんだ。口の中は、まっ赤であった。
こんどは正吉の方がぶるぶるッとふるえて、その場に立ちすくんだ。いったいその奇魚《きぎょ》はなんであったろうか。
にらむ怪魚《かいぎょ》
正吉のおどろきの声に、こんどはキンちゃんがおどろいてうしろの林の中からかけつけた。
「どうしたい、ちびだんな」
「しいッ」
正吉は、キンちゃんにさわぐなと知らせた。
「ええッ。気味のわるいことだ」
と、キンちゃんは、どろ棒ネコのように腰を低くし、草むらを分けてそろそろと正吉の方へ近づいた。
キンちゃんの声が大きかったので、池の水面から顔を出していた奇妙な魚がびっくりして、どぶんと波紋《はもん》をのこして沈んでしまったのだ。
その話を、正吉は、そばへ来たキンちゃんに話してやった。
「ええッ、大きな魚だって、そいつはめずらしいから、つりあげていって、焼くか煮るかして食ぜんへ出してみたい」
キンちゃんは料理人だ
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