事だ。私は家の前でつづけさまに三日間、ものこそかわれデルタにちがいなき三角形のさまざまなものを見出さねばならなかった。私は時子の呪いの総勘定日が近づいたことを知った。いや其の上にそれからというものは時子の顔が窓の外にあらわれたりいろいろと変なことばかりが重《かさな》った。時子の顔と思ったのは、その弟である君の顔だという事に軈《やが》て気がついた。しかし其の時私は、時子の弟が、あからさまに時子の呪いを奉じて私を脅かしつつあるという新しい事実に戦慄しなければならなかった。
私は実に苦しい。君の家も調べさせてわかったから、今日にも突然君を訪ねて一切を話そうかという気にもなってはいる。しかし面《めん》と君に向うだけの勇気は中々起りそうにもない。
今日は朝から七年前のデルタの上で別れたことを思い出していると、どうやら今日は自分が死にそうな気がしてならない。このまま死んでは私の罪が一層重なるわけだから、今のうちに一寸|認《したた》めて君へ送っておきたいと思ったのである。
ただ一つ心係《こころがか》りは、どうして君が時子の呪いのデルタを探し出して私を脅かすようになったかという事である。しかしこ
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