ったのである。そら、いよいよ始まったと村の人たちは時計屋敷のたたりにふるえあがった。
この事件がきっかけとなって、八木音松《やぎおとまつ》をはじめとする少年探偵団の活躍が始まるのであった。
探偵団の結成
とうとう怪事件を、ひきおこしてしまった。いわないことじゃない。それだから、時計屋敷には手をつけるなと、昔からいいつたえられているのに、ばかなことをしたもんだ。
時計屋敷におそろしいのろいのかかっているのを信じている左内村の老人たちは、北岸の治作《じさく》さんほか六人の若者たちが、われからそのような悪い運命におちこんだのを悲しみ、そしてなげいた。
「も、誰も時計屋敷に近づけるんじゃないよ」
「あの屋敷に一足ふみこめば、地獄の血の池地獄までさかおとしじゃ」
そういうことばが、合言葉《あいことば》のように、左内村の中を何十ぺんとなく往復した。
この行方不明事件は、警察署へも報告された。しかし二名の警察官が自転車にのって、村長のところへ様子を聞きに来ただけで、警官は時計屋敷には足を入れず、そのまま帰ってしまった。
「おまわりさんだって、いやだよなあ。あんな幽霊屋敷にはいって
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