に思ったので、或る夜私はヤリウス様の寝所を襲ってこれを縛《しば》りあげ、地下牢の中へほうりこみ、鉄の鎖でつなぎ、顔にはおそろしい死神の仮面をかぶせた。
世間に対しては、とつぜんヤリウス様がこの土地を去られたことを告げ、雇人《やといにん》も全部|解雇《かいこ》し一人のこらずこの土地にとどまることを許さなかった。そのために私は相当な金を使った。
私はひとりとなって後、いよいよ巨万《きょまん》の富をひとり占《じ》めするつもりで屋敷を後にして水鉛の埋蔵《まいぞう》されている場所へ入ったが、それは私の思いちがいで、本当の埋蔵場所ではなかった。私は屋敷へ帰ると、地下牢の囚人ヤリウス様を責めて、その場所を語らせようとしたが、ヤリウス様はなんとしても語らなかった。
私は金に困ってきたので、やむなくこの屋敷を左東左平に売った。私は金を受取ってこの屋敷を立ちのいたと見せたけれど、実はすぐ秘密の地下道からこの屋敷の中へもどった。
この屋敷には、ヤリウス様のお好みによって作られた秘密の部屋や通路や仕掛《しかけ》るいがたくさんある。そのことは左平には話してなかったので、私はその秘密の部屋にかくれて暮すこ
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