っとあいた。そしてそこから、さっとあかるい光線がさして来た。
「あ、あの窓があいたよ」
「だれが、あけたんだろうか」
「みんな警戒するんだ、きっと、このあと、なにか起るぞ」
 五井が叫んだ。
「ほら、もうなにか起っているよ、そこの壁が動いている」
 四本の声だ。
「え、壁が動いているって」
「そうだ、窓の左手の壁だ、壁全体が上へあがって行く」
「あ、そうだ。みんな、うしろへ下れ、危険だぞ」
 五井は、みんなを壁と反対のうしろへ下げた。その間にも壁は音もなく上にあがってゆく、そのむこうに何があるのか、あいにく、その奥はまっくらで、何の形もみとめることができなかった。
 壁はだんだんあがっていった。天井の中にはいってしまうのであろうか。
 やがて、壁はあがり切った。
 ことんと音がしたと思ったら、今あがった、壁のむこうの部屋が、急にあかるくなったのだ。どこかに、あかり窓があって、それがあいたものらしかった。
 さて四人の少年は、次の部屋に何を見たろうか。
「あッ」
「なんだ、あれは……」
 少年たちは、めいめいの心の中に、かねて聞いていた左東左平の妻お峰と娘千草らしい二体の白骨が、寝床によ
前へ 次へ
全79ページ中44ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング