い》ったかは、読者が容易に想像し得らるるところにちがいない。
しかも金博士の爆発警告の物件は、この柱時計だけではないのである。あとまだ十一個もあるのである。一々ここに書き切れないが、序《ついで》にもうすこし述べておこう。
2
次の第二号を見ると、こんなことが書いてあった。すなわち、
[#ここから2字下げ]
二、ソノ色、黒褐色《コッカッショク》ノ水甕《ミズガメ》ニシテ、底ヲ逆《サカサ》ニスルト、赤キ「ペンキ」デ4084ノ数字ガ記《シル》サレタルモノ。
[#ここで字下げ終わり]
さあ、たいへん。水甕は、たいていどこの家にもある。ましてや水甕の色となると、鮮《あざや》かなる赤や青や黄などのものはなくて、たいてい黒ずんでいる。博士は多分その水甕を特別の二重底にし、そこに爆弾を仕かけておいたものであろうが、そうなると、どの家でもそのままにして置けない。水甕という水甕は、その場で逆さにひっくりかえされた。そのために、そこら中は水だらけと相成《あいな》り、水は集り集って、租界《そかい》を洪水《こうずい》のように浸《ひた》してしまった、本当の話ですよ。
空になった甕《かめ
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