に向け、最後の突撃を試みました。
やがて、一段と大きく岩の崩《くず》れる音とともに、われわれは思いもかけない明るい部屋の中に突入したのです。私は愕《おどろ》きの目をみはりました。そこは大きな洞窟《どうくつ》で、猿とも人ともつかぬふしぎな動物が居合わせました。しかしその動物は別にわれわれに危害を加える様子はありませんでした。
私の予《か》ねて勉強しておいた前世古代語《ぜんせいこだいご》が役にたって嬉しいことでした。彼等は自《みずか》ら、これがピポスコラ族であることを申立てました。彼等は二十万年前に、地中へ潜《もぐ》ったと申して居りました。その当時は、地上や空には恐竜《きょうりゅう》などの恐ろしく大きな動物が猛威《もうい》をふるい、地底深くには大土竜《おおもぐら》(それが退化して今日残っているのが例のもぐらもちです)に攻めたてられ、遂に上下谷《じょうげきわ》まって横に向いて逃げるうち、このところに安全洞《あんぜんどう》を見出して、穴居《けっきょ》動物となり果《は》てたことが分りました。
すべて、金先生の仰有《おっしゃ》ったとおりです。そこで私は洪君とはかり、これから何とかしてこの土地
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