に攻勢的同情《こうせいてきどうじょう》を求めるわい。しかしいつまでもわしの部屋に頑張られても困るが、一体|貴公《きこう》の教わりたいという事項は、何じゃったね」
「あれぇ、金博士はもうそれをお忘れになったんですか。そんなことじゃ困りますね」
 と、私は大袈裟《おおげさ》に呆《あき》れてみせて、ひとのいい博士の、急所に一槍《ひとやり》突込《つっこ》んだ。
「ああそれは済まんじゃった。はてそれは何のことだったか、ああそうか、殺人光線のエネルギー半減距離《はんげんきょり》のことだったかね」
「いえ違いますよ。博士、私が教えてくださいといったのは、そんなむつかしい数学のことではありません。つまり、文化生活線上に於けるわれわれ人間は、究極《きゅうきょく》なる未来に於て、如何《いか》なる生活様態《せいかつようたい》をとるであろうか? その答を伺《うかが》いたいと申したのです」
「なんじゃ、もう一度いってくれ。何の呪文《じゅもん》だか、さっぱりわしには通《つう》じない」
「何度でも申しますが、つまり、文化生活線上に於けるわれわれ人間は、究極なる未来に於て、如何なる生活様態をとるものであろうか? どう
前へ 次へ
全26ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング