「ふーん、考えたもんだね。すると、われわれも今までのように、地下百メートルのところにあるからといって安心していられないわけだな」
「そうだよ。おお、君の今いる地区へも、既にA液弾が落ちて、今ずんずん地底へ向けて滲みこんでいるという報告が来ている。この上、B液弾が落ちれば、たいへんなことになるよ。大いに注意しなければいけない」
「大いに注意しろといって、どうするのかね」
「それはね、水はけ――ではない液《えき》はけをよくすることだ。上から滲みこんで来た液は、樋《とい》とか下水管《げすいかん》のようなものに受けて、どんどん流してしまうことだ。しかしA液とB液とを一緒に流しては、さっき云ったとおりに爆発が起るから、その前に、濾過器《ろかき》を据《す》えつけて、A液とB液とを濾《こ》し分け、別々の排流管《はいりゅうかん》に流しこまなければいけない」
「それはずいぶん面倒なことだね。急場《きゅうば》の間に合わないや」
「でも、それをやって置かないと、君たちの生命《いのち》に係《かかわ》る」
「生命に係るのは分っているが、もうA液は天井のあたりまで滲みこんでいるのに、樋工事を始めたり、濾過器を取
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