方面に亘って有望なる学才を有し、しかも貧乏だとか、孤児《こじ》だとか云う恵まれていない人物を探し出して、これに莫大な資金を送り、その人物が立身出世をするように極力宣伝し、遂に今日我国の要路要路の実権を彼等の手に握るようにまで後援したのです。×国の参謀本部の命令一下、彼等×探は、いやが応でもその命令を決行しなければならないのです。若《も》しそれに肯《がえ》んじなかったら、その男を国事犯で絞首台に送りでも、又、殺人隊をやって絶対秘密裡に暗殺してしまいでも、どうでも自由になるのです。彼等が始めて苦しいジレンマを意識したときには、その行く道は自殺があるばかりです。某博士の自殺、某公使の自殺、某中佐の自殺、それ等、原因のはっきりしない自殺は、皆ここに源があるのです。これだけ申せば、国際殺人団の活躍が如何に必然的なものであり、決死的なものであるか御判りになったでしょう」
「いや、よく判りました。それ以上は、おたずねいたしますまい。またこの御依頼にNO《ノー》と答えたくても、即座に私の命のなくなることを思えば、YES《イエス》と申して置くのがなによりであることも判っています。だが、私に大役《たいやく
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