》んでいたという発見の方ですよ」
 と、蜂谷艇長は興味深げに黄金階段の下を覗《のぞ》いてみるのだった。
 そのときだった。
「あれッ、おかしいなア」
 と進少年が、頓狂《とんきょう》な声をあげた。蜂谷とミドリは愕《おどろ》いて少年の方をふりかえった。少年の顔色がセロファン製のマスク越しにサッと変ったのが二人に分った。
「あ、あれごらん」と少年は手をあげて前方を指した。その指す方には、空気のない澄明《ちょうめい》なる空間をとおして、新宇宙艇の雄姿《ゆうし》が見えた。「誰か、艇内からピストルを放《はな》ったよ。撃たれた方が、いま砂地に倒れちゃった。誰がやられたんだろう」
「おお大変」とミドリは胸をおさえて、「艇内に居たのは、新聞記者よ。いま帰った猿田さんが撃たれたんでしょ。大体あの記者、怪しいわ。出発のときにだって、艇内に忍びこむ前に、ピストルで羽沢《はざわ》飛行士を撃ったのかも知れなくてよ」
 と、ミドリ嬢はハッキリ物を云った。
「さあ、どっちにしても大変だ。さあ急いで傍《そば》に行ってみましょう」
 艇長はすぐ先頭に立って、艇の方へ駈けだしていった。
 そのとき、繋《つな》いであった新
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