鬼仏洞事件
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)見取図《みとりず》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一等|賑《にぎや》かな
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   見取図《みとりず》


 鬼仏洞《きぶつどう》の秘密を探れ!
 特務機関から命ぜられた大陸に於《お》けるこの最後の仕事、一つに女流探偵《じょりゅうたんてい》の風間三千子《かざまみちこ》の名誉がかけられていた。
 鬼仏洞は、ここから、揚子江を七十キロほど遡《さかのぼ》った、江岸《こうがん》の○○にある奇妙な仏像陳列館《ぶつぞうちんれつかん》であった。
 これは某国の権益《けんえき》の中に含められているという話だが、今は土地の顔役である陳程《ちんてい》という男が管理にあたっているそうだ。
 わが特務機関は、未だに公然とこの鬼仏洞の中へ足を踏み入れたことがないのであるが、近頃この鬼仏洞を見物する連中が殖《ふ》え、評判が高くなってきたのはいいとして、先頃以来この洞内《どうない》で、不慮《ふりょ》の奇怪な人死《ひとじに》がちょいちょいあったという妙な噂もあるので、さてこそ女流探偵の風間三千子女
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