》か一旬《いちじゅん》のうちに、弦三と素六の兄弟と、優しい母と姉とを喪《うしな》った彼女は、この次の、父の誕生日に集るであろうところの、僅か半数になった家族のことを想って、胸のせまるのを覚えた。
 しかし戦死したと思った伊号一〇一乗組の、紅子の大好きな直二《なおじ》兄が、無事な姿をひょっくり現わすだろうことを思えば、いつとはなしに微笑《ほほえ》まれて来るのであった。



底本:「海野十三全集 第1巻 遺言状放送」三一書房
   1990(平成2)年10月15日第1版第1刷発行
初出:「朝日」
   1932(昭和7)年5月〜9月号
入力:tatsuki
校正:kazuishi
2007年1月5日作成
2007年9月1日修正
青空文庫作成ファイル:
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