る! この鮪船からの警報は、それから数分ののちに、○○無線局を経て東部防衛司令部に達した。――
「○○無線局発。午前五時十五分、北緯三十六度東経百四十三度ノ海上ニアル茨城県湊町在籍ノ鮪船第一|大徳丸《ダイトクマル》ハ有力ナルS国軍用機ノ大編隊ヲ発見ス、高度約二千メートル、進路ハ西南西。超重爆撃機九機ヨリナル爆撃編隊七隊ナリ。以上」
超重爆六十三機の一大爆撃編隊の強襲だ!
防衛司令部は、俄《にわ》かに活気づいた。
警報の用意が命ぜられた。
五百キロの海上だとすれば、あと二時間位で帝都の上空に達するはずだった。海上の防空監視はむつかしい。
この発見がもうすこし遅かったら、どうなったろう。思っても冷汗が流れる。
用意は出来た。
香取司令官は、厳然として「空襲警報」を下命した。
警報の発令と同時に、防空飛行隊にも出動命令がくだった。つづいて高射砲隊などの地上防空隊へも、それぞれ戦闘命令が発せられた。
マイクロホンの前で、中内アナウンサーは、命令遅しと待つほどもなく、香取司令官は手をあげた。
「ラジオ放送で一般に通報せよ。――司令部発表、南及び北関東地区、午前五時二十分、空襲警
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