ものにあうとごまか[#「ごまか」に傍点]されやすいこと、どんどん走りすぎて足もとに注意しないために、溝《みぞ》へおっこちるようなことがあること、すこしあわてん坊であること、それからタバコをすいすぎることなどであった。かれはひとりの少年を助手にもっていた。それは小杉二郎《こすぎじろう》という、ことし十四歳になる天才探偵児《てんさいたんていじ》であって、この少年がいるために、蜂矢はずいぶんあぶない羽目から助かったり、難事件をとくカギをひろってもらったりしている。
しかし蜂矢探偵は、めったにこの少年とともに外をあるかない。ふたりはたいていべつべつにわかれて仕事をする。これは蜂矢探偵の考えによるもので、べつべつにはなれていたほうが、おたがいの危険のときに助けあうこともできるし、また事件の対象を両方からながめるから、ひとりで見たときよりも、正しく観察することができるというのであった。
これはなかなかいい考えであった。
さて蜂矢十六は、この事件のこれまでのあらましを、長戸検事の部屋で、検事からひと通り聞いた。検事は人格の高い人であったから、自分たちの失敗やら、とくことのできなかったことを、つ
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