属Qにちがいありません。Qは、ほくが気絶《きぜつ》している間《ま》に、本当の針目博士を殺し、そして博士の頭を切り開いて、じぶんがその中へはいりこみ、あとをたくみに電気縫合器《でんきぬいあわせき》かなにかで縫いつけ、ぼくが気がついたときにはすっかり、針目博士にばけて[#「ばけて」に傍点]いたのにちがいありません」
「そうだ。そうでなくては、われわれを呼びよせて、みな殺しにする必要はなかったはずだ。もし本当の博士だったとしたらね」
「本当の博士なら『わし』などとはいわず『わたし』というはずです。それから話のあいだに、博士であることをわすれて、Qが話しているような失策を二度か三度やりましたね」
「そうだった。そんなことから、Qはぼくたちを生かしておけないと考え、きゅうにきょうの午後二時かっきり、時刻厳守《じこくげんしゅ》で会うなんていいだしたのだろう。どこまでわるがしこい奴だろう」
 このとおり長戸検事と蜂矢探偵の意見はあったようだが、はたしうる一点はそのとおりかどうか、いま、にわかにはっきり断言はできない。
 もしも万一、ふたりの説がほんとうで、怪金属Qが第二の爆発をのがれて、生命《せいめ
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