せたのでしょう。それで検事がぼくを助けにきてくれたのですよ。戸をあけてもいいですか」
「ふーん」
針目博士は、しばらくうなっていたが、
「それなら、戸をあけてよろしい。しかしこの部屋の中で、わたしにことわりなしに、勝手なことをしないように誓わせておくんだな。でなければ、わたしはすぐさま検事たちを追いだすから、そのつもりで」
と、きびしく申しわたした。
蜂矢は、うなずいて、戸のところへ行って向う側へ声をかけ、やはり長戸検事たちであることをたしかめたうえで、かけ金《がね》をはずして戸を開いた。
「やあ、先生。よく生きていてくれましたね」
まっ先にとびこんできたのは小杉少年であった。少年は蜂矢の胸にとびついて、喜びに目をかがやかした。
「よう、蜂矢君。どうしたんだ」
そのうしろに長戸検事の緊張した顔があった。ことばつきはやさしいが、蜂矢と室内をかわるがわるにながめて、一分のすきもなかった。
そこで蜂矢は、かいつまんで、この部屋へはいってからの、いきさつを説明した。そして、
「……そういうわけで、怪人Qは、それの製作者であるところの針目博士の手で、あのとおり焼きすてられたのです。ど
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