博士の手許にわずかな隙ができたのだ。
「ええいッ」
とつぜん金属Qが身をひるがえして、前へとびだした。そしてかれは、博士の抱えていた破壊銃の銃先《つつさき》を、力いっぱい横にはらった。
「あッ」
と、博士が叫んだときは、もうおそかった。破壊銃は博士の腕をはなれて横にすっ飛び、旋盤《せんばん》の方をとび越して、その向うに立っていた配電盤《はいでんばん》にがちゃんとぶつかった。もちろん破壊銃は壊《こわ》れた。ガラスの部分がこなごなになって、あたりにとび散った。
金属Qの始末
「なにをするッ」
と、針目博士が、どなる。
「銃はこわれた。こうなりゃ、こっちのものだぞ」
金属Qは、はんにゃ[#「はんにゃ」に傍点]のような形相になって、博士にとびついていった。
大乱闘《だいらんとう》になった。ものすごい死闘《しとう》であった。金属Qの方が優勢《ゆうせい》になった。かれは、どこから出るのか、くそ力を出して、手あたりしだい、工具であろうと、器具であろうと、何であろうと取って投げつける。
蜂矢探偵は、このすごい闘いの外にあった。かれはしばし迷った。仲裁《ちゅうさい》すべきであろ
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