《き》に乗《じょう》じて、長い繃帯をといた。なるほど、繃帯はどこもまっ白で血に染《そま》っているところは見あたらなかった。ただ、その繃帯をときおえたとき、博土の頭部《とうぶ》をぐるっと一まわりして、三ミリほどの幅《はば》の、手術のあとの癒着《ゆちゃく》見たいなものが見られ、そのところだけ、毛が生えていなかった。
なお、もう一つ蜂矢が気がついたのは、額《ひたい》の生えぎわのところの皮が、妙にむけかかっているように見えることだった。そのとき、後からあらわれた博士の声が、いらだたしく聞こえた。
「蜂矢君。こんどは、その高いカラーをはずしたまえ」
「カラーをはずすのですね」
はじめから博士の特徴《とくちょう》になっていたその高いカラーを、蜂矢は、いわれるままに、とりはずした。すると蜂矢探偵は、そこに醜《みにく》い傷《きず》あとを見た。短刀《たんとう》で斬《き》った傷のあとであると思った。いつ博士はこんな傷をうけたのであろうか。すると、またもや、あとからあらわれた博士がいちだんと声をはりあげて、蜂矢に用をいいつけた。
「つぎは、その男の面《つら》の皮《かわ》をはぎたまえ。えんりょなく、はぎ取
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