うそ[#「うそ」に傍点]です。きみが、わたしのからだへはいりたいのでしょう」
さすがに探偵は、いいあてた。その事情はわからないが、相手の計画しているところはわかるような気がする。
「ふふふふ、どっちでもいいじゃないか」
いつのまにやら博士の手には、大きなハンマーが握られていた。博士はそれを頭上にふりあげて、今や蜂矢の頭に一撃をくわえようとしたとき、
「待て、金属人間。動くな。動けば生命《いのち》がないぞ」
と、ひびいた声。
蜂矢はおどろいて、そっちへ目を走らせた。するとこはふしぎ、もうひとりの針目博士が蜂矢をおびやかしている針目博士の方へしずしずとせまってくる。その博士は腕に機銃《きじゅう》に似たような物をかかえていた。
ふたりの針目博士だ。どういうわけであろう。
二人の針目博士《はりめはくし》
針目博士《はりめはくし》が、ふたりあらわれた。
蜂矢探偵は、わが身の危険も忘れて、しばしふたりの針目博士の顛を見くらべた。
どっちも同じような顔つきの針目博士であった。ちょっと見ただけでは見分けがつかなかった。どっちの針目博士も、青い顔をしている。しかしどっちかと
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