ったかれにもどつていた。奇々怪々《ききかいかい》なる博士のふるまいである。いったい、なんでそんなことをするのか、その秘密をここでつきとめてしまいたい。
「いま、見せてくだすったのがれいの行方不明になった『骸骨の四』ですか」
ずばりと斬《き》りこんだ。
「よく知っているね。そのとおりだ。くわしくいえば、金属Qという名前があたえられた第一号だ。つまり、たくさん作った生きている金属の試作品の中で『骸骨の四』がまっ先に、生きている金属となったのだ、そこでこれを金属Qと名づけた」
「なるほど」
「いま、きみが見たのは、金属Qだけではなくその金属のまわりを、人工細胞十四号が包んでいるものだ。それは金属Qを保護するものなんだ。もっともはじめのころのように、人工細胞十四号は完全に金属Qを包んでいない。欠《か》けている個所《かしょ》があるのだ。そのために、金属Qはいつも不安な状態におかれてある。ああ、人工細胞十四号がほしい。この上の部屋にはあったんだが、この部屋にはないらしい」
博士は、不用意に歎《なげ》きのことばをもらした。そしてその後で、はっと気がついて、蜂矢をにらみかえした。
「はははは、昼間
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