て、あやまった。
「はははは。きみは、見かけに似合《にあ》わず臆病《おくびょう》だね。そんなことでは、これからきみに見せたいと思っていたものも、見せられはしない。見ている最中《さいちゅう》に気絶《きぜつ》なんかされると、やっかいだからね」
 博士は、意地のわるいうす笑いをうかべで、そういった。
 蜂矢は、博士のことばに、新しい興味をわかした。それは博士が蜂矢に何か見せたがっているということだ。いったいそれは何であろうか。
「さあ、こっちへはいりたまえ。このドアは、しっかりしめておこう」
 博士は、地下道の途中《とちゅう》にあるドアをばたんとしめ、それにかぎをさしこんでまわした。蜂矢は、そのときちょっと不安を感じた。しかしすぐ気をとりなおして、力いっぱい博士とたたかおうと思った。かれは、これから針目博士が彼をどんなにおどろかそうとしているか、それをすでにさとって、覚悟《かくご》していた。
「ほら、こんな広い部屋があるんだ。きみは知らなかったろう」
 とつぜん、すばらしく大きな部屋へはいった。二十坪以上もある広い部屋、天じょうはひじょうに高い。そしてこの部屋の中には、えたいの知れない機械が
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