ら、「恐竜島における動植物の研究」という論文を書いて発表した。
ダビットのとった映画は、ニューヨークを皮切りに地球上の国々で長期興行の記録を作っていった。この功績のために、ケンとダビットは映画賞をもらったり、ワシントン大学の動物学教室から名誉博士《めいよはくし》の称号《しょうごう》をもらった。
ラツール記者は恐竜島の冒険物語を発表した。これは二十四国語に訳されて、広く愛読され今年度のベストセラーの内に入れられた。
さて、玉太郎はどうしたろう。豪州《ごうしゅう》見物はできなかったけれど、恐竜島という豪州にくらべて決して見おとりのしない島の見物が出来たので、結果においては大へんもうけたことになった。現在はラツール記者の世話で、ル・マルタン紙につとめている。
今でも玉太郎をラツールのアパートにたずねると、彼はポチをだいて、あの数々の冒険談を話してくれる。そして、恐竜島に負けぬ位の怪奇島《かいきとう》があったらぜひつれていってくれと腕をたたいている。
最後にツルガ博士の娘ネリのことをのべよう。彼女は中国人|張子馬《ちょうしば》氏の作った恐ろしい思い出の島という詩に、自分でピアノの曲をつけて発表した。それがパリー人にみとめられて、映画やバレーになって上演され、パリー中の人気を集めることになった。
ネリは今でも玉太郎と仲よしである。ラツールは二人のことを島が生んだ愛すべき友情といっている。
底本:「海野十三全集 第12巻 超人間X号」三一書房
1990(平成2)年8月15日第1版第1刷発行
底本の親本:「海野十三全集 第八巻」東光出版社
1951(昭和26)年6月25日
初出:「PTA世界少年」
1948(昭和23)年1月号〜終了月は未詳
※底本に見る「探検」と「探険」の混在は、ママとした。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:原田頌子
2001年12月28日公開
2006年8月2日修正
青空文庫作成ファイル:
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