ほうりこんで、目をぱちぱちさせた。強いブランデー酒らしい。
 ケンは、玉太郎へ、チュインガムをくれた。ポチにも、ポケットから四角なかたそうなビスケットを出して……。
「ねえ、隊長。恐竜てえのは、猛獣の部類なのかね。それとも馬や水牛《すいぎゅう》なみかね」
 監督ケンが、たずねた。
「君の知りたがっているのは、恐竜が人間を見たらたべてしまうかどうかということかな」
 伯爵は二杯目をつぎながら、相手にたずねた。
「そうだ。そのことだ。それを知っていないと、これから恐竜とのつきあいにさしつかえるからね」
「そのことだが、恐竜は猛獣のように荒々しいともいえるし、そうでもないともいえるし」
「なんだ、それじゃ、どっちだかはっきりしないじゃないか」
「いや、はっきりしていることはしているのだ。つまり相手によりけりなんだ。自分の気にいらない相手だと、くい殺してしまうし、自分の好きな相手なら、羊のようにおとなしい」
「恐竜は、好ききらいの標準をどこにおいているんだろうね」
「まず、虫が好くやつは好きさ。虫が好かんやつはきらいさ」
「それはそうだろうが、もっとはっきりと区別できないかな」
 ケンは伯爵の
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