とっては、たいへんな御馳走であり、そしてまた彼に新しい元気をつけたことはたしかであった。
 玉太郎は、朝食をとりながら、探検団の人々にむかって、これまでの話をのこらずして聞かせた。話が、ラツール記者と愛犬ポチの行方《ゆくえ》が今なお分らないというところまですすむと、探検団の連中はざわめきだした。
「これはたいへんだ。恐竜とこの島に同居《どうきょ》するのでは、たいへんだ」
「やっぱり恐竜は人間をくうんだね。そこまでは考えなかった」
「人間をくうとは、まだはっきり断定できないだろう」
「いや、あの小さい総督が今いった話によると、ラツールとかいうフランス人がくわれ、ポチという犬が恐竜にくわれたそうじゃないか」
「目下《もっか》行方不明だというんだろう。くわれたかどうか、そこまではまだわかっていない」
「くわれたにきまっているよ。こんな小さな島で、行方不明もないじゃないか。それにわれわれは母船《ぼせん》を失った。あのとおり親船《おやぶね》のシー・タイガ号はまっぷたつにちょん切られて、もう船の役をしない。われわれはこれから恐竜島に缶詰めだ。そこで今日は一人、あすは次の一人という工合に、恐竜の食膳
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