全なところへ避難《ひなん》するんだ」
さすがにケンは、早く気がついた。崖の上の誰かと恐竜の格闘がつづいている間に、こっちは安全地帯をさがしあてて、そこへとびこんでいようというのだ。
「あそこにいいところがある。ひくい天井をもった洞穴《ほらあな》があるんだ。そこへ行って、もぐりこもうや[#「もぐりこもうや」は底本では「もぐりこうもや」]」
ケンは一同に合図をしてうしろへひっかえした。
恐竜どものおそろしいさけび声が洞窟をはげしくゆすぶり、まるで地獄の底にある思いだった。
避難《ひなん》の穴《あな》
「ここだ。大丈夫、みんなはいれるだろう」
ケンがゆびさしたのは、海面からわずか一メートルばかりの高さに口を開いている洞穴であった。人間が二人腰をかがめてはいれるぐらいの大きさだった。自然にできた洞穴とは思われないしるしが、この洞穴の入口の上にあった。のみで、けずったようなあとが見えるのだった。なお入口の上に、なんだか文字のようなものが岩にほりつけてあるらしく思われたが、今はそれを判読《はんどく》しているひまはなく、ケンは一同をうながして、洞穴の中へもぐりこんだ。
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