ロープをひいて、よしと合図する。するてえと、おれはロープをたぐりあげて、ぴかぴかした卵を籠から出し、このへんに積みあげて行かあ。どうだ、いい段取だろう。どんどん仕事がはかどるぜ」
「バカヤロー」
「えっ、なんだって、きたないことばは使わない方がいいよ」
「だってそうじゃねえか。お前はここにずっといるんだから、いい役だよ。しかしおれはどうなるんだ。海を泳いだり、つるつる卵をかかえたり、それからよ、恐竜にいやな目でながめられたり、いい役まわりじゃねえ。だから腹が立つんだ」
「まあまあ、フランソア。お前はいつも気がみじかくて早合点《はやがてん》すぎるよ。お前ばかりに、卵をとるために海を泳がせたり、何かいやな目でながめられたりさせやしない。とちゅう、半分ぐらいのところで、お前とおれは交替しようというんだ。だからぜったいに仕事は公平に分担するんだ。怒ることはないよ」
「ああ、そうか。とちゅうで、半分ぐらいのところで交替でやるのか。うん、そんならいいんだ。それを早くいわないから、こっちはまちがえて腹を立てる」
「さあ、そうと話が分ったら、すぐ仕事にかかろう。おれは籠をあみにかかる。お前はそのロープ
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