彼はうなる。
二人の水夫フランソアとラルサンも、モレロをこのように昂奮させた岩の上の黄金色まばゆき何物かを見つけてしまった。二人はむきだしに思っただけのことをさっきからしゃべっている。
「おいラルサン。おれたちはいよいよ百万長者《ひゃくまんちょうじゃ》になるんだぜ。あのぴかぴかしているのは、恐竜の卵なんだ。え、すばらしいじゃないか、恐竜は、あんなにぴかぴかと金色にひかる卵をうむんだぜ」
「フランソア、気をしっかり持ってくれ。たとい恐竜の卵を見つけたにしろ、どうしておれたちは百万長者になれるんだ」
「二人でな、この崖を下りて、あれを取るんだ。フランスまで持ってかえれば、一箇につき五万フランや十万フランで買い手がつくよ。いや、もっと高く売れるかもしれない」
「恐竜の卵が、そんなにいい値段で売れるかい、いくらぴかぴか金色に光っていても、卵だもの、とちゅうでくさりゃおしまいだ」
「あほうだよ、お前は。恐竜の卵とニワトリの卵といっしょになるものか。恐竜の卵は、すぐにはくさらないんだ。金色をしているのが何よりの証拠《しょうこ》じゃねえか」
「金色していると、永くくさらないのかい」
「はて、分
前へ
次へ
全212ページ中135ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング