らにも、救援の仕事をさせないと、不公平だ。おれが引立ててやろう」
「まあ、待ちたまえ、モレロ君」とマルタンがとめた。そして葉巻を一本出してモレロにあたえた。「ツルガ博士はあのままでいい。いっしょに連れていっても、かえってわれわれの足手まといになるだけだ。なんにしろ、恐竜群にたいして、われわれはすばやく行動しないと、とりかえしのつかないことになるからね」
「ふん。じゃあ、このたびは見のがしてやるか」
モレロは、にくにくしげにいった。よほど彼は、博士が、虫がすかぬらしい。
断崖《だんがい》をのぼり、それから林の中をはいって地下道を通り恐竜の洞窟《どうくつ》へ入った。
洞窟のものすごい光景。海水に身体をひたしてうずくまる四頭の恐竜の姿。洞窟の中へさしこむ陽《ひ》の光のまぶしさ。わわんわわんと反響する波の音。はじめてこの光景を見る四人の新来者たちは、みんな顔色をかえた。
「すごいところがあったもんだ」
「地球の上に、こんな別天地《べってんち》があろうとは、夢にも思わなかった」
「これは、地獄の入口かも知れない」
「恐竜の巣にとびこむなんて、契約になかったぞ」
四人が四人、それぞれに恐怖
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