恐龍。それから今から二十何年前、スコットランドのネス湖《こ》のまん中あたりで、長いくびをひょっくり出していて、土地の人に見つけられたというあの太古《たいこ》の怪獣である恐龍! この恐龍を、ぼくたちは豆潜を使って海中に出す計画なのだ。
いったいどうして、そんなことができるか、えへん、えへん。それがちゃんとできるのである。サムとぼくとで、とうとう考え出したことなのだ。
その仕掛は、みなさんにうちあけると、こうだ。例の潜水艇にはマストがある。このマストに、作り物の恐龍の首をとりつけるのだ。もちろん、海水にぬれても、色や形がくずれない材料でこしらえておく。
こうしておいて、豆潜を海の底から浮きあがらせたり、また急に沈ませたりする、するとどうなるだろう、大恐龍が海の中から首を出したり引込めたりするように見えるだろう。さあそのとき、すぐ前に汽船が通っていたらどうだろう。
――うわっ、恐龍が本船の間近にあらわれた。た、た、たいへんだ!
と、そこで汽船の中は上を下への大そうどうとなり、無電を打ったりして、“大恐龍が熱帯海《ねったいかい》にあらわる。二十世紀の大ふしぎ”とて世界中に報道されて大
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