さわぎになるだろう。
 ぼくたちは恐龍の目玉の中にとりつけてある写真機で、汽船のさわぎをいく枚も撮っておく。そして当分知らない顔をしているのだ。そして、夏休みがすんだ頃、“恐龍艇の冒険”と題する例の写真を発表して、全世界をげらげらと笑わせてしまおうというのだ。これが正直なところ、サムとぼくが考えた大計画の全部だった。
 ぼくたちは、この計画に必要な恐龍の頭部を設計し、航空便で本国に注文した。ぼくは、そういうものを製作している工場を前から知っていたのだ。その工場からはすぐ返事が来た。おそくも七日目には完成して、航空便でそちらへ送ると書いてあった。
 サムとぼくは、顔を見合わすと、うれしくなって、その場に踊り出した。

   恐龍艇《きょうりゅうてい》のりだす

 それから十日の後に、ぼくたちは、恐龍の頭部の作り物の荷物を受け取った。
 思いのほか小さいものであった。といって一メートル立方ぐらいの箱にはいっていた。ぼくたちは、ホテルの一室で、扉に鍵をかけ、この秘密の荷物を取り出した。
 すばらしい出来具合の恐龍の頭部が出て来た。さすがにあの工場だ。そしてぼくたちの設計よりもずっとかんたんに
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