便利に、優秀に仕上げてあった。
 この恐龍の頭部をつくり上げている材料になるものは、目のこまかい鎖網《くさりあみ》であった。その上に絹製《きぬせい》の防水布《ぼうすいふ》と思われるものがかぶせてあり、これが、恐龍の皮膚と同じ色をし、そして上の方には目もあり口もあるのだ。たたみこむと、わずか一メートル立方の箱の中にらくにはいってしまうが、取り出してふくらますと、すばらしくでかいものになる。
 恐龍の目の中に、写真機がとりつけられるようになっていた。その外、ぼくの設計にはなかったが、恐龍が首を上下左右にふることのできる仕掛がついていた。それはあやつり人形と同じような仕掛で、何本かの鎖《くさり》が下に垂れていて、それを滑車《かっしゃ》とハンドルのついた巻取車で巻いたり、くり出したりすればいいので、この鎖はマストの中を通って艇内へ入れるようにと注意書きがしてあった。
 とつぜん扉がノックされた。
 鍵がかかっているので安心していたら、扉はがたんと開かれ、ボーイがはいって来た。
「きゃーっ」ボーイは、ベットのシーツをその場にほうりだして、逃げていった。
「しまったね。見られちゃったね」
「扉の鍵
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