は君がかけたんだろう」
「たしかにぼくがかけた。おやおや、これではだめだ。戸がすいているから、鍵をかけても開くんだもの」
ぼくたちは、大急ぎでそれを箱の中にしまった。そしてあとでボーイが支配人をつれて、ぼくの部屋へおそるおそるやって来たときには、ちゃんと片づいていた。ぼくたちはボーイが夢を見ながらこの部屋へ来て、大怪物を見たような気がしたのだろうといって、追いかえした。
しかし、こうなると、この荷物をあまり永くホテルへはおいておけない。そこでその夜、ぼくたちはこの荷物を海岸のギネタ船渠《ドック》の構内にあるぼくたちの潜水艇の中へはこびいれた。あいにく月はない。月は夜中にならないと出ない。
ぼくたちは、その夜、この豆潜の中で眠った。
夜明けの二時間前である午前三時に、ぼくたちは起き出た。片《かた》われ月が空にかかっている。その光をたよりにぼくたちは、恐龍の[#「恐龍の」は底本では「恐竜の」]首をマストにとりつけた。
夜明けをあと三十分にひかえて、ぼくたちは恐龍号の昇降口《しょうこうぐち》をぴったりと閉め、そしていよいよ出港するとすぐ潜航にはいった。ずっと沖合《おきあい》へ出てか
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