がすんでいるんだよ」
「恐龍島って、ほんとうにあるんだな。あいつは人間を食うだろうか」
「恐龍は爬虫類《はちゅうるい》だろう。爬虫類といえばヘビやトカゲがそうだ。ヘビは人間をのむからね。従《したが》って恐龍は人間を食うと思う」
「なにが『従って』だ。食われちゃ、おしまいだ。ああ、困ったなあ」
「ぼくはそんなことよりも、あのけだものが、ぼくらの恐龍号の恐龍に話しかけても返事をしないものだから、腹を立ててしまってね、ぼくらの艇をぽんと海の中へけとばして沈めてしまやしないかと心配しているんだ」
「あっ、そうだ。昇降口《しょうこうぐち》をしめてくるのを忘れたよ。困った。本物の恐龍は相手が口をきかないものだから、きっと腹を立てるだろう」
「そうなれば、ぼくらは、乗って帰る船がなくなるよ。そしてこの島に本物の恐龍といっしょに住むことになるだろう」
「わーっ。本物の恐龍と同居《どうきょ》するなんて、考えただけで、ぶるぶるぶるぶるだ」
 サムは全身をこまかくふるえて見せた。
「ねえ、サム。恐龍は、鼻がきくだろうか。つまりにおい[#「におい」に傍点]をかぎつけるのが鋭敏《えいびん》かな」
「なぜ、そんな
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