いながらぶーんと飛行機の音が聞こえるではないか。
「だめだ。まだ飛行機が、空にがんばっているよ」
「夜がすっかり明けちまうと、ちょっと出にくいんだ。困ったね」
 夜が明けた。飛行機の数はふえた。これではいよいよ動けない。
 その日も一|泊《ぱく》、次の日も、やむを得ず一泊した。困ったのは食糧だ。もっと持ってくればよかった。水は完全になくなった。上陸してヤシの実のくさい水をのんで、ようようのどのかわきをとめて生きていた。

   恐龍《きょうりゅう》出現《しゅつげん》

 四日目の朝のこと、起きて船の外へ出てみると、うれしや飛行機の音がしない。そこでサムを起こした。
「よし、今のうちに出航だ。しかしその前にヤシの実を十個ばかり拾《ひろ》って、艇内にはこんでおく必要がある。これからまだどういう目にあうかもしれないから、水の用意はしておかないといけないんだ」
「なるほど。では二人で、五個ずつ拾ってくればいいんだね。ゆこう」
 サムとぼくとは急いで上陸した。それから近くのヤシの林へはいって、なるべく色の青いヤシの実を拾いあつめた。
 五個のヤシの実は、やっと両手に抱えて持ちはこびができる。ぼく
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